雨のパレードは4人からなるバンド編成ながら、“創作人”としてペインター、ファッション・デザイナー、ジュエリー・デザイナーの方などを巻き込み、総合アート・プロジェクトとしての形態を進めている。このMVでも、どこかの美術館のインスタレーション作品として使われてもおかしくないとも思うものの、音楽単体で“独立”するというのではなく、やはり、複合的に様々な分野の少なくない人が関わり、知恵を貸し合い、成立してゆく“何か”になりつつあるのかもしれない瀬の一つの参照例とも思える。例えば、毀誉褒貶あれども、SEKAI NO OWARIのパフォーマンス・アイデアなどはこれまでの暗黙の基準値を超えてきている何かがあるように。彼らは、この「ペトリコール」からして、独自の基準視座が極まっている感じがしていい、と思う。総合表現としてロックを、言葉を、映像を伝えるにはプロテアン的になる“べき”中での象徴的な存在のひとつだろう。