あだくろ『富士山』 Next Plus Song自決少女隊『遺書』

伴瀬朝彦
『カリハラのうた』
　軽快なギターの響きにちょっとだけ鼻声のボーカルがこれまた軽やかに乗ってくる。歌われているカリハラというのが何なのかはわからない。鳥なのか、それとも別の生き物なのか。個人的にはギターアルペジオがThe BeatlesのBlackbirdを思い起こさせるような雰囲気なので勝手に鳥だと解釈しているが、それがなんであっても別に構わないのだろう。とにかく心地良く、ゆるやかな時間が特別に展開しているようなトラックで、歌詞など気にもせずに洋楽を聴いているような気分になってくる。アニメによるビデオは左から右に流れて行く。それを眺めていて僕は音楽ソフトの波形を見ているような気分になった。単に音を示すだけの波形はいかにもデジタルなビジュアルだが、そんな無機質な波形は実は歌を表現しているわけで、だったら無機質に左右に移動していく音の波形は、実はビジュアルにするとこういうものなのではないだろうかと考えるのだ。だからすべてのLRの波形にはこういう物語的なビジュアルが内包されていて、目では見えないからスピーカーからの音で解釈をする。それでいいのだけれど、目に見える物語で見せてくれたらきっとこういう感じになるんじゃないかなと、そう思ったのだ。
(2014.8.25) (レビュアー：大島栄二)
 

   
         
 


 
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