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『東京』
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東京というタイトルの歌はたくさんあって、そのいずれもが地方出身者が見た東京の幻影のようなものであるように感じている。東京出身者の友人に言わせれば、盆正月に帰る場所がある人の東京と自分にとっての東京は違うらしく、だったら東京出身者による東京の歌があってもいいと思うが、現実にはそのほとんどが地方出身者が見る東京の歌ばかり。それはやはり一旦孤独になる瞬間を持ち、その孤独を東京の煌々とした24時間営業の光によってかき消そうとする共通体験があるからではないかと勝手に思っている。数年前の僕も含め、田舎者によって作られた首都は、夢も希望もどんどんと吸い込んでいって、一体何を吐き出してくれているんだろうと時々思う。そんなことを思ってしまうこと自体が東京の思うつぼなんじゃないかとわかっていながらも、やはり思わざるを得ないのだ。だから『東京』は孤独を背景にした希望を歌った作品でなければ名曲にはならないはずで、そういった意味でもこの曲は十分に名曲としての『東京』であり得ると感じている。
(2014.7.31)
(レビュアー:大島栄二)
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