相変わらず不安定な天候が続き二転三転するが、夏という季節には柔和に弾むリズムが似合う。その予感も含めて。the band apartのギター・ボーカルの彼のこういう曲と声と言葉には、無邪気に心が弾んでしまう。生楽器の響きを尊重しながら、隙間の中に意味ある音がしなやかにポップに描かれている。強制的な加圧も過剰なオブセッションもない、なんだか“街の中”に混じって、賑やかな雑踏や暑い日差し、突然の通り雨もヘッドフォン越しにスムースに視界を刷新するような、大げさもフックも避わし、聴いていると、突然、季節の名前を逆に思い出しながらも、「君はそれでいいのか」と問いかけてくるリリックも含めてコマ割のMVからは、涼やかな風が吹いてくる。知ったことを言う前に、一度、季節をシャッフルして、真っ新な夏に戻ってみるのもいいのではないだろうか。