ザ・なつやすみバンド『サマーゾンビー』 Next Plus Song僕のレテパシーズ『ハローグッバイファックユー』

昆虫キッズ
『Alain Delon』

 ただの空気の振動なのに、どうにも触れたら心が切れてしまうような音。瞬間に、彼らの青さを抜けたようで、その藻掻きの中で諦観するような情熱の消失点が不意に見えるところが美しい。初期のころから彼らを知っていたが、作品、ライヴを重ねるごとに“野放図なスタイリッシュさ”といえばいいのか、研ぎ澄まされていった。東京を中心にした、ある種のインディー・ロック・シーンのネクスト・カミングとしてつねに位置づけられる存在として散見されるようになりながら、早いものでアルバムも4枚を重ねる。前野健太も大森靖子も、また、禁断の多数決なども着実に認知度を増す中で、昆虫キッズは鋭利にブルーながらも、茫漠とした音景色に揺らぎ続ける孤独の楔を打ち込もうとしている。筆者的にはスパルタローカルズなんてバンドの影を合わせ鏡のように照合しながら、彼らの音にはいつも魅せられる。真夏の詩的な退廃感と焦燥とも近似しそうなこの曲も狂おしい。
(2014.7.18) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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