SALTY DOG『Goodnight, Cruel World』
中村月子『汚れたシャツ』
CRUNCH
『ふとした日常のこと』
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3ピースのフィメール・バンドとして、名古屋を中心に活動を進めるCRUNCH。日本のみならず、いろんなメディアにすでに取り上げられているが、筆者としては彼女たちに宿る微妙なアウラと、やや失語気味な、もたりに魅かれる。はっぴぃえんど経由といおうか、テンポ、BPM、バンド・アンサンブルといい、現代的な饒舌なエントロピーの蚊帳の外で「日常的な何か」を演奏するさまには親近性以外の、“並行”関係性も類比する。そこでは、90年代のUSインディーでの“ローファイ”の反動、初期のベック、ペイヴメント、グランダディなどがもたらせた空気感を感じさせもする。この動画でも、もたるドラム、拙いギター、繊細なベース、メッセージを伝えようとする細かく震動するボーカルまであくまで「不安定」であり、ゆえに、その不調整なところに同一化できるともいえる。“ラララ”というコーラスのなかに情景が込められている、おそらく、規則文脈から脱臼することで、高精度なシステマティックな商業音楽を対象化しようとしているのだろうか。そんな、穿った考えを迂回してでもいい、これから鍛えられてゆくだろう“リズム”の精度に期待している。
(2014.4.7)
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
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