澤野弘之『MOBILE SUIT』 Next Plus SongPredawn『Suddenly』
AKIRA KOSEMURA
『VENICE』
 デジタル技術の飛躍的な向上のお蔭といおうか、昔にアナログ・フィルムで撮った写真や画像群をデジタルで二次加工することが可能になり、「残す」ためにどんどん変換してゆくことが増えた。しかしながら、デジタル加工したものを印刷すると、元にあった「遺っていた何か」が削られているような気にもなる。年月日や風景、人物がしっかりと刻印されているにも関わらず。Akira Kosemuraの音には、その変換途中で喪われてしまう瞬間の淡みを感じる。ポスト・クラシカル隆盛以降、世界中で個性的なソロ・ピアノ集が見受けられるようになり、ただ、そこにはジャズでも、独り善がりでもない、自らでピアノを媒介としてあったはずだろう過去を今に巻き戻すような温度を感じることがある。そういった際に、ピアノという鍵盤楽器がもたらす意味作用は大きいのかもしれない。
(2014.3.15) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
 このレビューは、公開されている音源や映像を当サイトが独自に視聴し作成しているものです。アーチストの確認を受けているものではありませんので、予めご了承ください。万一アーチスト本人がご覧になり、表現などについて問題があると思われる場合は、当サイトインフォメーション宛てにメールをいただければ、修正及び削除など対応いたします。