Anco.『雨粒ごしのworld』
エレファントカシマシ『悲しみの果て』
佐々木健太郎
『STAY GOLD』
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子供や学生たちだけじゃなくても、大人になっても春という季節には何かと変化や気持ちの変動は伴う。特にこの三年、日本というあらゆる場所で迎える春は平準に捉えられるべきものばかりではないだろうし、世知辛い事柄も尽きないだろう。アナログフィッシュというバンドはキャリアを重ねる中で、幾多の困難を経ながらも今も前線に立ち、着実な活動を続けている。リリカルな表現からメロウで優しいセンス、巧みなバンド・アンサンブルまで定評があるが、近年、
「PHASE」
のような衒いのないシリアスな表現も少しずつ増えていた。シリアスな現実に向けて無防備な楽観主義ほど無為はない。ただ、なにかと息苦しい瀬にシリアスなことばかりを考え詰めすぎるのを続けると囚われてしまうものも増えてしまう。そんな折、メンバーの佐々木健太郎の初のソロ・アルバムからのこのMVと曲はとてもキラキラしていて春という季節に合う。決して華華しいことばかりが歌われているわけではなく、喪失や過去、加齢も含めながら、清冽なギター・ロックと美しいハーモニー・ワークに背中を押される感覚は心地良い。「荷物は軽い方がいいぜ」という歌詞も自然と胸に響く。
(2014.3.10)
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
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