amazarashi『性善説』
Mercy boQue『空に時をあずけて』
高橋徹也
『大統領夫人と棺』
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地道なライヴ活動、そこでの多数の新曲発表や都度、熱狂的なファンを獲得しているアーティストにして、実に録音ものとしては7年半振りとなるオリジナル・アルバムを今年に発表した彼は、どんどん静かに鋭敏になってゆきながら、音楽性の純度は高まっている。90年代の終わり、デビュー当時は、それこそスタイル・カウンシルやフリッパーズ・ギター経由の華やかにしてブルーアイド・ソウルを上品に奏でていた。その後、じわじわとフィッシュマンズ後期のような空気自体の揺らめき、音楽の中で静けさが響くジャジーでメロウなサウダージを求めるような方向性に往く。この弾き語りのライヴ・テイクはその久しぶりのアルバムのタイトル・トラック。“サウダージ”という言葉に沿うならば、マジック・リアリズム的、南米文学の幻術性に溢れるポエトリー・リーディング調の短編集のようなナラティヴが綴られる。ここで、言及される大統領と、その婦人、そして、棺に置かれるのは例えば、ジョアンなのかカエターノなのか、マルケスなのかボラーニョの中に居る人物かそうじゃないのか、想像を掻き立てられる。
(2013.12.19)
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
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