パッションパッションパッション 『先生の置手紙』 Next Plus SongSHISHAMO 『がたんごとん』
ゆーきゃん
『サイダー』
 02年から続く京都のボロフェスタの主催者のひとりにして、その透き通った歌声でその場の空気感を静かに緩やかに変えてしまう、そんな透明性と存在を持ったアーティスト。この「サイダー」のMVでも、何気なくも美しい緑に陽光がやわらかくレンズ越しに混ざり合った公園で、日常で募る想いの儚さの縁を確かめるように歌う。それだけだが、いや、それだけで、とても美しい。ルー・リードの「Perfect Day」という曲にしてもそうだが、きっと、こういった曲の合間に添う日々の泡が弾けてしまいそうな時間に寄せられるような表現にこそ、胸の奥が締め付けられることが多い人もいる気がする。大袈裟さも過剰なフックもなく、また、70年代のUSのSSWのような混沌たる時代文脈での意味付けや昨今の日本のフォーク・リヴィヴァルなどとはほぼ関係なく、この今、普段どおりに生活しているまま、ギターを持って、呼吸するみたく、うたを綴る肩の力の抜け方と少し醒めた視点もいい。この曲から想起した人もいるだろう、ニック・ドレイク、エリオット・スミスのような儚さも彼の前では、とても魅力的な要素に映る。そういえば、時おり、サイダーって飲むたびに、こんなにすぐに炭酸って抜けるものだったかな、と思う。
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
 このレビューは、公開されている音源や映像を当サイトが独自に視聴し作成しているものです。アーチストの確認を受けているものではありませんので、予めご了承ください。万一アーチスト本人がご覧になり、表現などについて問題があると思われる場合は、当サイトインフォメーション宛てにメールをいただければ、修正及び削除など対応いたします。